企業での看護師の立場、役割と仕事
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
企業で働く看護師
看護師の職場というと、病院などの医療施設が一番最初に思い浮かぶと思います。でも、看護師の職場は医療施設だけではありません。一般企業で働く看護師もいるんですよ。
一般企業で働く看護師というとイメージしにくいかもしれませんが、看護師の活躍の場は広がっているんです。
一般企業で働く看護師は、社員の健康管理を行う産業看護師、治験業界で働く治験コーディネーター（CRC)や臨床開発モニター（CRA）、医療機器メーカーや製薬会社で自社の製品をPRしたり使い方をレクチャーするクリニカルコーディネーター、健康関連の事業を行う企業のコールセンターでの電話対応の5つがあります。
産業看護師
産業看護師は、定期健診を行って、その結果に基づいた健康相談や健康教育を行うことで社員の健康管理をする仕事です。
近年では生活習慣病予防やメタボリックシンドロームの危険性が注目されているので、産業看護師の業務はとても重要になってきています。
また、労働者のうつ病やパニック障害の増加も社会問題になっているので、社員のメンタルヘルスケアも大切な仕事と言えるでしょう。
治験コーディネーター（CRC）
治験とは製薬会社が新しく開発した医薬品が、医薬品医療機器等法の承認を得るための臨床試験のことです。
そして、治験コーディネーター（Clinical Research Coordinator＝CRC）は、SMO（Site Managgement Organization：治験施設支援機関）や病院で勤務し、治験がスムーズに行われるために、治験を実施する病院側の立場から治験を管理・調整し、サポートします。
治験コーディネーターは医師と治験についての打ち合わせをするだけでなく、被験者（患者）に治験についての説明を行ったり、治験に対する不安を取り除くなどの被験者への精神的なケアも行いますので、看護師経験を十分に活かすことができる仕事です。
臨床開発モニター（CRA）
臨床開発モニター（Clinical Research Associate＝CRA）も治験コーディネーター同様に、治験業界で働き、治験を管理・調整する仕事になりますが、治験コーディネーターと違う点はその立場です。
治験コーディネーターは病院側から治験をサポートするのが仕事になりますが、臨床開発モニターは製薬会社側から治験をサポートします。
臨床開発モニターはCRO（Contract Resarch Organization：開発業務受託機関）や製薬会社に勤務して、治験が正しく行われているかをモニタリングし、治験のデータを回収して製薬会社に提出します。
臨床開発モニターは製薬会社や医師とのやり取り、打ち合わせ等が多くなりますので、専門的な医学的・薬学的な知識が必要になります。
また、コミュニケーションスキルも必要です。そのため、臨床開発モニターは看護師経験が役に立つ仕事なのです。
クリニカルコーディネーター
クリニカルコーディネーターは、フィールドナースとも呼ばれています。
医療機器メーカーや製薬会社で働き、自社製品のPRを行ったり、病院などの医療機関に新しく納品する際に、それを使う看護師に使い方のレクチャーを行ったりするのが仕事です。
同じ看護師目線に立ってレクチャーできるので、病院側の看護師にとってはありがたい存在です。
また、製薬会社や医療機器メーカーは外資系企業も多いので、語学力がある看護師は自分のスキルを活かせる場でもあります。
健康関連の事業を行う企業のコールセンターでの電話対応
一般企業での看護師の仕事には、健康関連の事業を行うコールセンターでの電話対応もあります。
健康食品や健康関連のグッズの販売など健康管理・健康増進に関する事業を行っている企業の中には、顧客からの健康に関する疑問や不安、相談に応じるためのコールセンターを設置しているところがあります。
そのような電話の対応は、医療や疾病、健康に関する専門的な知識が必要ですし、顧客に対応するためのコミュニケーション能力が必要になりますので、看護師経験がある人にはピッタリの職場と言えるでしょう。
このように一般企業で働く看護師には、様々な職種があります。一般企業に就職するので、基本的に夜勤はありませんし、カレンダー通りの休みになるのが特徴ですので、病院で働く看護師の人気の転職先になっています。
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