訪問看護ステーションの仕事の難しさとやりがいとは
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
訪問看護師の仕事の難しさ
訪問看護ステーションの看護師は、患者さんが在宅でも安心して療養生活を送れるように、医師と連携しながら看護サービスを提供します。患者さんの身体や心の機能の回復の支援をするのです。
病院で働く看護師と比較すると、予想外に大きな問題に直面することも多いものです。病院では患者さんの活動範囲は、ほぼ一定しています。また、たまにしか来院しない家族の存在もそれほど重要視しなくても良いでしょう。訪問看護ステーションの看護師は、活動範囲が家庭によってそれぞれに異なり、身体可動域も異なる患者さん一人一人に対応します。
それぞれ異なる意思のある家族と接し、理解や協力を求める努力も訪問家庭により形を変えて必要になります。支援を行う看護の方法は、どれだけのパターンがあるか分からないほどです。その一つ一つの問題に対して悩み考え、クリアしていくのです。体位変換、入浴、排泄、歩行介助などの看護をしながら、介護家族が抱える問題も共有し援助していくことになります。
訪問看護師の仕事のやりがい
介護している家族へ日常生活における指導やアドバイスを行っても、家族によっては受け入れてもらえるか否かも分りません。在宅患者や家族の支援を行う時には、訪問看護師の人間性が大きなカギになると言えます。問題や課題は多いけれども、徐々に解決されていき患者さんが生き生きした笑顔を見せてくれるようになった時、また、家族の明るい表情に出会う時、満足感や充実感を味わう事が出来ます。
仕事は確かに難しいけれど、やりがいは十分にある仕事と言えます。歩く事が出来なかった患者さんが、少しずつ介助で歩く事が出来るようになったりします。ほとんど動かなかった手も持ちあがるようになり、自分でスプーンを口に運ぶ事が出来るようになるのです。患者さんの身体の変化一つ一つに、看護師も喜びや充実感が持てるのです。初めは心を閉ざしていた患者さんや介護者である家族も、次第に口数も笑顔とともに増えて来ます。仕事をしていて毎日楽しいと感じる事は、病院勤務の看護師にはなかなか味わえない事です。数々の問題をクリアしていくごとに、今までに自覚していなかった自信が持てるようになります。自己成長は言うまでもありません。
一日中家にいてほとんど臥床している患者さんは、訪問看護師が来るのを首を長くして待っています。頑固な性格の老人は、喜びや感謝の気持ちを素直に表現できないかもしれません。でもそれは身体症状として現れてきて、病状が軽快することもあるのです。病院で勤める看護師は、医師の指示を仰いだり上司の判断に頼る事が多いですが、訪問看護師は全て自分の判断で行います。勉強も必要かもしれませんが、看護師としてのスキルアップも、人間性の成長とともに達成されていく充実感は何物にも代えられないものです。
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