ブランクがある看護師の再就職で注意したい7つのポイント
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
ブランクがある看護師は、再就職する時に「こんな私でも、再就職できるかしら?」とか「再就職に失敗したらどうしよう?」などの不安を持っていると思います。
ブランクがある看護師が再就職する時には、次の7つのことに注意するようにしましょう。
- 無理なく働けるかを確認する
- フォロー体制が整っているところを選ぶ
- 求人選びの時は隅々まで情報を調べる
- 面接ではやる気をアピールする
- 張り切りすぎないようにする
- 分からないことは積極的に訊く
- 昔の記憶はリセットする
1.無理なく働けるかを確認する
ブランクから再就職する時には、無理なく働けるかを確認しましょう。
ブランクがある看護師は、
- 看護スキル
- 体力
- 家庭・育児との両立
を考慮して、無理なく働ける職場を選びましょう。
そうでないと、「再就職なんてしなければ良かった…」と後悔することになってしまいます。
看護スキルで無理がないこと
ブランクがある看護師は、看護スキルに不安を持っていると思います。
長期間のブランクがあると、採血や静脈注射、痰の吸引の手順や注意点など、看護スキルをすっかり忘れていることもあります。
それなのに、医療行為が多く重症患者さんばかりのところに再就職してしまったら、間違いなく後悔すると思います。
体力で無理がないこと
次に体力面です。
看護師の仕事は体力的にハードですが、あまりにもハードな職場を選んでしまったら、体力的についていけずに、再就職したことを悔やんでしまうかもしれません。
特に、ブランクがある人が再就職したばかりの頃は、緊張や不安でいっぱいになりますので、想像以上に体力的な消耗が激しいのです。
そのため、再就職するなら、できれば力仕事が少なく、体力的に楽なところを選んだ方が良いでしょう。
家庭・育児との両立で無理がないこと
最後に家庭や育児との両立についてです。
ブランクから再就職する看護師さんは、「お子さんが保育園に入ったから」とか、「小学校に上がったから」などの理由で、再就職する人が多いと思います。
仕事と家事・育児を両立できる職場を選ばないと、「やっぱり再就職は無理だった」と再就職後にすぐ退職することになりかねません。
- 「保育園や学童保育のお迎えの時間には確実に間に合うのか」
- 「日曜祝日など保育園や学童保育がない日には、きちんと休めるのか」
2.フォロー体制が整っているところを選ぶ
ブランクのある看護師さんが再就職する時には、フォロー体制が整っているところを選んでください。
ブランク看護師向けのフォロー体制が整っているところを選べば、仕事に早く慣れることができますし、丁寧に教えてもらえるので、看護スキルを忘れていても、安心して働くことができます。
ブランク看護師に、プリセプターをつけてくれる職場や、採用後1年間は師長と定期的に面談をするようにしている職場などを選ぶと良いでしょう。
また、ブランク看護師を積極的に採用している職場を選ぶのも良いと思います。求人に「ブランク歓迎!」と書いてあるような職場ですね。
ブランクから再就職した看護師さんがたくさん働いている職場は、ブランクから復帰しやすいという証拠です。
そのような職場だと、ブランクから復帰するにあたっての悩みなどを理解してもらいやすいですし、職場側もブランクがある看護師の悩みや不安などを良く知っていますので、的確にフォローしてもらえると思います。
3.求人選びの時は隅々まで情報を調べる
再就職の求人を選ぶ時には、焦らずに隅々まで職場の情報を調べましょう。
求人情報に載っている情報だけではなく、それ以外の部分も調べて、「この職場なら再就職したい」と思える職場に再就職すれば、再就職後のギャップが少なくなります。
求人情報に掲載されている情報はほんの一部分です。
職場の場所、交通手段、給料の目安、休日数、勤務時間、主な福利厚生などが、求人情報に掲載されています。
しかし、これだけを見て求人を選ぶのは危険です。
例えば、給料の目安ですが、「経験加算はあるのか」、「自分の経験年数では実際にどのくらいの給料になるのか」を調べなければいけません。
給料の目安として求人情報に載っているのは、新卒看護師の給料であることが多いのです。
「新卒でこのくらいなら、私は10年の臨床経験があるから、再就職すれば、もっともらえるはず!」
そう思い込んで再就職するのは危険です。
「経験加算がない」、または「ブランク看護師には経験加算はしない」という職場だったら、新卒看護師と同じ給料で働かなければいけません。
また、給料以外にも次のことを調べておきましょう。
- 夏休みや年末年始の有無
- 有給消化率
- 寮や託児所の有無
- 残業時間
- 福利厚生の詳細
- ボーナスの支給実績
- 各種手当の金額
- 教育体制
- 職場の人間関係
- 看護師の業務範囲
例えば、【勤務時間が8時〜17時まで】という訪問看護の求人があり、「この時間なら、学童保育のお迎えにも余裕で間に合うわ」と思って、その求人に応募し、採用されたとします。
でも、その訪問看護ステーションは、毎日のように1〜2時間の残業があったらどうでしょうか?
学童保育のお迎えに間に合わず、その職場に再就職したことを後悔しますよね。
また、介護施設なら介護士さんがいて、看護師は介護業務をしなくて済むから、体力的に楽だと思って、介護施設に再就職したいと考えている場合も要注意です。
確かに、介護施設には介護士さんがいますが、介護士が人手不足の施設では、看護師も介護業務をしないと仕事が回らなくなります。
介護施設なら体力的に楽だと思っていたのに、実は体力的にとてもきつかったら、再就職後1週間で退職せざるを得なくなるかもしれません。
そのため、ブランクがある看護師が再就職の求人を選ぶ時には、必ず求人情報には載っていない部分までしっかり調べるようにしましょう。
転職支援サイトを利用する場合は、無料のコンサルタントが詳細に調べて教えてくれますので、積極的に聞いて見ましょう。
4.面接ではやる気をアピールする
ブランクのある看護師は、面接でやる気をアピールして下さい。
それが、ブランクがあっても採用してもらうためには、とても大切なことになります。
当然のことですが、ブランクがある看護師はブランクなしの看護師に比べると、採用には不利になります。
例えば、「ブランクがある、あなた」と、「ブランクがない看護師さん」が同じ求人に応募した場合、やはりブランクがない看護師さんの方が有利なんです。
これは、仕方がないことですよね。
ブランクがあると、スキル面や体力面に不安が残りますから、職場としては少しでも即戦力になる看護師を採用したいと思うものなのです。
ブランク看護師が自分の不利をを少しでも小さくする方法が、面接でのやる気アピールなのです。
スキル面や体力面で劣るなら、やる気でカバーするしかありません。
- 「なぜ、その職場で働きたいのか?」志望動機をはっきりと伝える以外にも
- 「ブランクがあるけれど頑張る」、「長く働く」という強い意志をアピールしましょう。
職場側は、ブランクがある看護師は採用しても、「適応できなくてすぐに辞めてしまうかも?」という不安を抱えているものです。
その不安を解消して、「この看護師さんなら大丈夫そうだな」と思ってもらえるように、やる気・熱意をアピールするようにしましょう。
5.張り切りすぎないようにする
ブランクのある看護師さんは、面接ではやる気をアピールしても、実際に再就職したら、張り切りすぎないようにしましょう。
張り切りすぎると、すぐにガス欠を起こしてしまいます。
ブランクが長い看護師さんは、最初から常勤ではなく、非常勤で少しずつ慣らしていった方が良いかもしれません。
再就職が決まると、「頑張らなくちゃ!」とか「職場の皆さんにご迷惑をかけないように!」と張り切ってしまうと思います。
久しぶりの看護師復帰に張り切らないわけはありません。
張り切るのは悪いことではないのですが、最初からエンジン全開で頑張ってしまうと、慣れない仕事、新しい環境に疲れてしまって、心がポキッと折れてしまうこともあります。
また、ブランクから再就職する看護師さんは、今までは専業主婦をしていたという人が多いと思います。
専業主婦の頃は、家事と育児をやっていれば良かったのですが、再就職後はそれに看護師の仕事が加わります。
いくら旦那さんが家事や育児を手伝ってくれたとしても、両立させるのは大変です。
看護師の仕事を張り切りすぎると、仕事後には、子供の世話をしたり、夕食を作る元気が、もう残っていないこともあります。
どんなに看護師の仕事が大変といっても、家事も育児もできない状態になってしまっては、再就職に成功したとは言えませんし、子どもにも迷惑がかかります。
さらに、家事や育児が全くできないあなたに、旦那さんも不満を持つことでしょう。
そのため、最初はあまり張り切りすぎないようにしましょう。
何事にも準備運動は必要です。少しずつ、慣らしながらマイペースに行きましょう。
6.分からないことは積極的に訊く
ブランクがある看護師さんは、再就職したら、分からないことや不安なことだらけだと思います。
もし、業務中に分からないことがあったら、どんどん積極的に訊くようにしましょう。
- 仕事を早く覚えることができますし、
- 同僚の看護師さんとコミュニケーションを取ることができて、
- 職場に馴染むことができるのです。
新人看護師の頃を思い出してみてください。
「これって、どうやるんだっけ?」と疑問にも思いながら、「たぶん大丈夫だよね?」と確認せずに自己判断でやった場合、たいてい失敗した思い出はありませんか?
私はそうでした。
分からないまま自己判断でやったら、ほぼ100%失敗しました。
先輩看護師に「報・連・相を徹底しなさい!」と怒られた苦い思い出があります。
ブランク明けに失敗の連続だったら、「再就職なんててしなければ良かった」と思って、心がポキッと折れてしまいます。
ブランクがある看護師さんが仕事を長く続けるためには、仕事を早く覚えて、「復職して良かった」と自信を持つことが大切です。
そのためにも、仕事で分からないことがある時には、どんどん積極的に訊くようにしましょう。
7.昔の記憶はリセットする
ブランクの看護師が再就職する時には、昔の記憶はリセットしましょう。
ブランク前に働いていた自分のイメージのまま再就職すると、おそらくギャップに苦しんで、再就職は失敗するでしょう。
ブランク前はバリバリ働いていた人でも、昔の記憶はリセットしましょう。
ブランクがあると、ブランク前のように働けるわけではありません。
もちろん、再就職して数ヶ月経てば、ブランク前と同じように働けるとは思います。
でも、再就職したばかりの頃は、思ったように動けず、想像以上に忘れていることが多いはずです。
私は、8月末で退職して、翌年の1月から再就職した経験があります。
たった4ヶ月のブランクでしたが、再就職した時は「なんかうまく動けない」、「私ってこんなに仕事ができなかったっけ?」と戸惑いました。
昔の「できる自分」の記憶を持ったまま再就職すると、「あれ?こんなはずじゃないのに!」とか「私はもっとできるはず!」というイメージの中の自分と現実の自分のギャップに戸惑い、ショックを受けることになるのです。
ギャップにショックを受けると、「やっぱり再就職なんてするんじゃなかった」と思うようになり、退職を考えるようになります。
さらに、昔のように働けなかった自分がショックで、もう二度と看護師として働こうとは思わなくなるでしょう。
他の仕事よりも高収入で、一生、仕事には困らない国家資格を封印してしまうのはもったいないと思いませんか?
そうならないためにも、ブランクから復帰する時には、昔の記憶はリセットして、新人看護師に戻ったようなつもりで再就職しましょう。
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