CCUの特徴と看護師の業務内容、適性やスキル、給料アップ法
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
CCUの特徴
CCUはCoronary Care Unitの略です。Coronaryは冠動脈を意味しますので、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患を専門とする集中治療室のことです。
ただ、近年は冠動脈疾患だけではなく、心原性心肺停止、重症心不全、致死性不整脈、急性大動脈解離、血行動態が破綻した肺血栓塞栓症など重症の循環器疾患、心血管系の重症疾患全般を対象にするところが多く、Coronary Care Unitではなく、Cardiac (心臓の)Care Unit、Cardiovascular (心循環系の)Care Unitの頭文字をとったCCUを設置している病院が多くなっています。
CCUの特徴は、救命救急センターの一部と言われるほど急患が多いことです。似たような部署であるICUは予定された手術を終えて、オペ後の管理のためにICUに入室するなどある程度計画的な入院も多いのですが、CCUの患者さんはそのほとんどが緊急入院です。
病院外で心筋梗塞や心停止、致死性不整脈などを起こして、救急車での救急搬送で来院し、蘇生や再灌流などの処置を行った後に入室となりますので、救命救急センターの一部としている病院もあるほどです。
また、心循環器系の重症な患者さんが多く、急変は日常茶飯事であることやその特性上、夜勤の72時間ルールが適用外となり、夜勤回数が多くなることもCCUの特徴と言えるでしょう。
CCUの看護師の業務内容
CCUの看護師の業務内容は、まず第一に異常の早期発見や全身管理を行うことです。一般病棟よりも重症度が高い患者さんばかりですので、日常生活援助よりも診療の補助の仕事が多くなります。
具体的には頻回なバイタルサインのチェック、薬剤の投与、医療機器の管理などの仕事の比重が重く、異常の早期発見に努めることや全身管理を行う合間を縫って、清潔ケア等を行うことが多くなります。
CCUの患者さんは心血管系の重症疾患を持っていますので、少しの変化を見逃すことが命取りになることがあります。
少しの変化も見逃さないことで、急変を未然に防ぐことができます。また、急変が起こったらできるだけ早く適切に対応することが、患者さんの命を救いますので、異常の早期発見がCCUの看護師の大切な仕事になるのです。
ただ、近年は「とにかく異常の早期発見や全身管理して循環動態を安定させるための看護」をするだけではなく、これらのことを大切にしつつも、早期離床に向けてのリハビリや口腔ケアなどが重要視されるようになっていますので、CCUの看護師の仕事の幅は広がっていると言えるでしょう。
CCUで働く看護師のメリットとデメリット
CCUで働く看護師のメリット
CCUで働く看護師のメリットとデメリットについて考えてみましょう。CCUの看護師のメリットは、心電図が読めるようになることです。
CCUで働く限り、心電図は避けて通れないものです。CCUに入職する前はどんなに心電図が苦手だったとしても、CCUで働くなら心電図を読む必要がありますので、苦手でも勉強して読めるようにならなくてはいけないのです。
心電図の勉強は大変ですが、半ば強制的に勉強しなくてはいけませんし、先輩看護師の中には心電図が得意の人も多いですので、CCUは心電図を覚えるには最適な環境です。
そして、心電図を読めるようになれば、循環器看護の楽しさも倍増しますし、CCUから一般病棟に戻った後も、心電図を読める看護師は重宝されますので、心電図を読める看護師になるメリットは大きいんです。
2つ目のメリットは、循環器看護と重症集中ケアの2つの専門を持つことができることです。循環器内科病棟や心臓外科病棟だったら循環器看護だけ、ICUだったら重症集中ケアだけですが、CCUで働けば良いとこ取りで2つの専門性を身につけることができます。
また、一般病棟に比べて給料が高めであることも、CCUのメリットと言えるでしょう。CCUは一般病棟に比べて夜勤回数が多めですし、CCUはICUや手術室同様に特別手当がつく場合がありますので、給料がやや高めになるんです。
CCUで働く看護師のデメリット
CCUのデメリットは、重症患者さんが多いゆえに、精神的なプレッシャーがあることです。いつ急変するかわからない、いつ急患が来るかわからないという環境で働くこと、1つ1つの医療行為や看護ケアが患者さんの生命を左右するという状況で働くことは、精神的に大きなプレッシャーとなります。
また、夜勤回数が多ければ給料が高くなるというメリットになりますが、夜勤があまり好きではない人や育児や家事と仕事を両立させたい人にとっては、夜勤回数が多いことはデメリットになりますよね。
CCUで必要なスキル、向いている人
CCUで働くのに必要なスキルは何でしょうか?CCUでは些細な変化に気がつけるかどうかが患者さんの命を左右しますので、鋭い観察力が必要になります。
また、急変や緊急入院が重なり、パニックになりそうなほど忙しい時もありますが、そのような時でも落ち着いて冷静に行動できるような判断力、冷静さも必要です。
CCUで働くなら12誘導心電図を読めたほうが良いですが、これは入職してから覚えても大丈夫です。
そして、CCUでは心血管系の最先端の医療を行っていますので、そこで働く看護師も最先端の技術、知識を持っている必要があり、部署内での勉強会が盛んに行われる傾向があります。
そのため、CCUの看護師は向上心のある人、勉強熱心な人が向いていると言えるでしょう。
どんなCCUを選ぶべきか
CCUがある病院は、ある程度大きな総合病院や大学病院に限られていますので、一般病棟のように、病院によって大きな差があるわけではありません。
ただ、CCUを選ぶ場合は、心筋梗塞など冠動脈疾患だけを専門にしたCCUか冠動脈疾患だけでなく心血管系の重症疾患を幅広く扱ったCCUかは、大きなチェックポイントになります。
また、年間搬送件数やCCUの病床数、扱っている疾患の割合なども考慮して選ぶと自分の希望に合ったCCUを見つけることができるでしょう。
CCUの給料と給料アップ方法
CCUで働くと給料はどのくらいもらえるのでしょう?経験年数や地域、病院によって差がありますが、経験5年目で月収28〜33万円が相場になっていて、同じ経験年数の一般病棟で働く看護師よりもやや多めになることが多いようです。
CCUで働くと一般病棟よりも給料が高くなる理由は、夜勤回数が多くなるためです。2交代制の場合、一般病棟では月4回の夜勤が平均になりますが、CCUの場合は6〜7回が平均となりますので、夜勤手当が多くなる分、給料が高くなるのです。また、ICUや救急外来、手術室などのように特別手当がつくこともあります。
CCUでの給料アップ方法は、スキルアップやキャリアアップです。スキルアップ・キャリアアップすることで、その職場に貢献でき、それが評価されれば給料アップにつながりますし、次回の転職でスキルやキャリアを評価されれば、そのスキルやキャリアを基本給に反映させてもらえるのです。
CCUで役立つ資格はBLSやACLS、循環器専門ナース、集中ケアの認定看護師などです。これらの資格を取っても、すぐに給料アップにつながらないかもしれませんが、長い目で見れば、スキルアップやキャリアアップは間違いなく給料アップにつながっていくはずです。
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