看護師バブル〜看護師余りの時代が来る?
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
病院看護師が余る時代が来る?
現在、看護師不足が社会問題になっていますが、不況で将来の見通しが不透明な社会状況の中で、女性でも一生続けられる仕事として看護師人気が高まっていて、ここ数年、看護学部・看護大学の新設ラッシュが続いています。
1991年当時は看護大学や看護学部はたったの11校だったのに、2014年は226校にまで増えていて、看護師の数も着実に増えています。
厚生労働省のデータによると、2001年に実際に働いている看護師(准看護師を含む)は118万7550人だったのに対し、2011年には149万5572人にまで増えています。約30万人も看護師として働いている人が増えているんですね。
こういう数字を見ると、看護師が余る時代が来るかもしれないと不安に思っていませんか?実際に、将来的に病院で働く看護師が14万人も余る時代が来るという試算を出している医療コンサルティング会社もあります。
今は看護師不足だけど、将来的には看護師が余る、しかも病院で働く看護師が14万人も余る時代が来るのは本当なんでしょうか?
看護師が増えても、需要はもっと増える!
私は、看護師が余る時代は来ないと思っています。病院で働く看護師が余るなんてことはないと思うんですよね。
日本では高齢者の増加が著しいですよね。高齢者が増加すれば、看護師の需要は高まるわけです。厚生労働省の試算によると、2011年の看護師の需要は150万人ですが、2025年には192万〜200万人にまで増える見込みなんです。
看護師の需要が高まったからといって、それ以上に新しい看護師が増えれば、結局看護師は余るのでは?と思うかもしれませんが、厚生労働省の試算では2025年の看護師の就労人数(実際に働く人数)は180万人程度と見込んでいるんです。
ここで、もう一度2011年の看護師の需要と供給(就労人数)の状況、2025年の看護師の需要と供給の試算を確認してみましょう。
2011年の看護師の需要は150万人、供給は149万5572人。2025年は需要が192〜200万人、供給が180万人です。この試算を見ると、いくら看護師の数が増えても、看護師不足は深刻化していくと思いませんか?
看護師免許を持っていても全員が働くわけではない!
いくら看護大学・看護学部が増えても、看護師が余ることはないなぁと思える数字を1つをご紹介しますね。
2014年2月に行われた103回看護師国家試験の合格率は89.8%でした。毎年合格率は90%前後ですよね。看護学生時代に、「国家試験は合格して当たり前!」と学校の先生から言われて、必死に勉強した思い出があると思います。
そして、専門学校ではなく4年制の看護大学・看護学部だったら合格率はもっと高いと思いますよね。でも、実際はそんなことはないんです。
もちろん合格率が95〜100%の大学もたくさんあるんですが、80%台前半しかないところもチラホラありますし、中には68.4%という大学もあるんです!これは、現役看護師さんから見ると、考えられない数字だと思いませんか?
この低い合格率を見て予想できることは、看護大学・看護学部に入学した人が全員本気で看護師になろうと思っているわけでないということです。看護師になりたいと決心して入学した人も多いと思いますが、「なんとなく高校の先生や親に進められて、入学した」という人も少なからずいると思います。
厳しい言い方かもしれませんが、そういう人達が看護師になっても看護師の仕事は厳しいですから、長期間続けられるとは思わないんですよね。
厚生労働省の推計によると、看護師の資格は持っていても看護師として働いていない潜在看護師の数は、現在77万人です。このまま看護大学・看護学部が増えて、看護師免許を持つ人が増えても、潜在看護師が増えるだけで、実際の看護師の数はそこまで増えないんじゃないかと思いませんか?
高齢化で看護師の需要はどんどん増える、そして看護大学・看護学部が増えても、潜在看護師が増えるだけで、実際の看護師の数はそんなに増えないのであれば、看護師が余るなんてことはないはずなんです。
だから、今働いている現役看護師さん達が「職がない!」、「リストラされる!」なんて心配はしなくて良いと思います。
ただ、2025年の厚生労働省の看護師の需要と供給はあくまで試算です。もしかしたら、需要はそれほど高まらず、逆に供給つまり看護師の数は試算よりももっと増えるかもしれません。そしたら、今よりも簡単に転職できなくなる、転職が難しくなる時代が来ないとは言い切れないんです。
そういう時代が来ても、あなたが看護師として生き残るにはどうしたら良いのかを一緒に考えてみませんか?
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