看護師人気が高まっている背景
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
看護師人気が高まっている
看護師不足が社会問題になっています。看護師は「白衣の天使」なんて言われていますが、実際に働いてみると、体力的にも精神的にもきついですし、その割には給料も安いので、現役看護師さんにとっては「これじゃ、看護師が増えないのは当たり前」と思いますよね。
でも、ここ最近になって看護師人気が高まっているんです。看護師国家試験の受験者数は10年前の2004年は4万9204人でしたが、2014年は5万8891人に増えています。
少子化が進んでいると言われながらも、看護師を目指す人は10年間で約1万人も増えているんです。
看護師人気が高まっている背景には、日本の社会経済が先行き不透明という将来的な不安があると考えられています。「就職難」、「失業者の増加」、「リストラ」、「年金制度崩壊」など将来が不安になるような言葉をニュースでよく耳にしますよね。
看護師は、時代や景気に関係なく一定の需要がある職業ですし、「国家資格」ですから、公務員並みに安定している職業です。「就職難」や「リストラ」などの言葉とは無縁の職業と言って良いでしょう。
一般的な会社に就職しようと思ってもなかなか採用されない、就職できてもいつリストラされるかわからないという道よりも、仕事はちょっと大変でも安定した看護師の道を選ぼうという人が増えているんですね。
看護大学・看護学部が急増中
看護師人気の高まりの中で、看護師の高学歴化も進んでいます。
看護師になるための養成機関として3年制の専門学校や短期大学ではなく、4年制の看護大学・看護学部を選ぶ人が増えているんです。
看護師の養成機関の定員数の推移を厚生労働省のデータで見てみると、1991年は3年制の学校の定員は3万8222人、4年制大学は588人だったのに対し、2010年は3年制が3万9383人、4年制は1万5394人になっているんです。
専門学校や短期大学の3年制の養成機関の定員はほぼ横ばいなのに対し、4年制大学の定員は約1万5000人増で26倍以上にも増えているんです。
看護大学・看護学部は、1991年には11校しかありませんでしたが、2014年には226校(定員1万9454人)にまで増えていて、看護大学・看護学部の新設ラッシュは続いています。
3年制の専門学校ではなく4年制の大学の人気が高い理由として、世間的に昔と比べると大学進学が一般的になったことや専門学校で3年間キツキツの状況で勉強するよりは、ゆとりがあり保健師や助産師の資格も取れる大学を選びたいという人が増えていると考えられます。
今後の看護師を取り巻く状況はどう変化する?
ここ最近の流れで、今後は看護師の人気が高まっていることと大卒の看護師が増えることが予想できます。このことが、看護師を取り巻く状況にどう影響を与えるのか気になりますよね。
看護師の人気が高まりが続けば、今の状況は少なからず変化していきます。看護師不足ではなく、看護師のサバイバル時代が来るかもしれませんよね。
今後、看護師になる人が増えれば、看護師不足が解消されて、現在のように簡単に転職できなくなるかもしれません。また、看護師のお給料や待遇にも変化が出てくるかもしれません。そして大卒看護師の増加で、専門卒看護師の状況は変わるのでしょうか?
今後、どうすれば看護師として生き残っていけるのか、サバイバル時代の中で看護師としてのやりがいと高待遇を両立していくにはどうすれば良いのかを「看護師不足」と言われている今のうちから考えてみませんか?
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