心療内科の特徴、看護師の業務と役割
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
心療内科の特徴
心療内科は、ここ10年ほどで一気に増えてきていて注目を集めている診療科です。
心療内科というと、「精神科の別名」や「ミニ精神科」というイメージがありませんか?
これは、基本的に間違いですが、正しい一面もあります。
心療内科は、心身医学を実践する診療科です。
心身医学とは、患者さんの身体面だけでなく心理面や社会面などを含めて、患者さんを統合的に診るものです。
これは、ちょっと難しい表現かもしれませんね。
簡単に言うと、
- 心理的な緊張が原因でお腹が痛くなったり
- 社会的なストレスが原因で身体的な不調がある
などの心身症を治療をするのが心療内科です。
具体的な疾患には、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症などがあり、アトピー性皮膚炎や気管支喘息なども含まれることがあります。
精神疾患であるうつ病や統合失調症、パニック障害などを治療する診療科ではありません。
このような精神疾患を治療するのは精神科です。心療内科ではありません。
ただ、現在の日本では、心療内科と精神科の区別が明確ではないんです。
精神科医が心療内科のクリニックを開業していることも多いのが現状で、精神科だけではなく心療内科でもうつ病や統合失調症の治療を行っています。
この理由としては、精神科を受診するのは患者さんにとってハードルが高いのですが、心療内科だと気軽に受診できることが挙げられます。
そのため、心療内科を受診する患者さんは、心身症の患者さんだけでなく、精神科領域の患者さんも含まれるという特徴があります。
また、心療内科は外来やクリニックが主で、病棟は精神科病棟や一般内科病棟の中に含まれることが多いため、心療内科単独の病棟はほぼありません。
心療内科の看護師の業務内容
心療内科の看護師は、基本的に外来やクリニックで働くことになりますので、一般的な病棟業務はほとんどありません。
外来やクリニックでの業務は
- 医師の診療の補助
- 検査介助
- 問診
- 点滴や注射等の処置
などほかの診療科とそれほど大きく変わりません。
心療内科の独自の業務と言えるのは、各治療法の説明や生活指導を行うことです。
心療内科の治療法には
- 抗うつ薬や抗不安薬、その他一般的な薬剤を用いた薬物療法
- 自律訓練法
- 交流分析療法
- 認知行動療法
などがあります。
どれも専門的なもので、患者さんにとってはまったく知らないものばかりです。
それぞれがどのような効果があり、どのようなステップで行われていくかをきちんと説明しなければいけません。
また、心療内科領域の疾患は、生活習慣や環境と深く関係している部分が大きいですので、生活指導も治療には重要なポイントになります。
医師も生活指導を行いますが、その人に合わせた生活の細かい部分まで指導していくのは、看護師の大切な業務の一つです。
心療内科の看護師の役割
心療内科を訪れる患者さんは、精神的・心理的に何らかのストレスや疾患を抱えていることが多いので、接する時には他の診療科の患者さん以上に配慮が必要になります。
患者さん一人ひとりの情報や状態を把握し、それぞれの患者さんに合わせて接していかなくてはいけません。
患者さんにとって心療内科を受診するのは、精神科ほどではなくても、ちょっと抵抗のある場合が多いんです。
また精神的にストレスがあったり、精神的な疾患を抱えていると、外出して医療機関を受診するのが億劫に感じるものです。
そんな中で、せっかく受診した医療機関の看護師が、「心無い接し方」や「マニュアルどおりの機械的な接し方」をしていたら患者さんはどう思うでしょう?
受診に来た患者さんに
- 安心感や安らぎを与える共に
- コミュニケーションで治療へのモチベーションを上げること
が心療内科の看護師の大きな役割と言えるでしょう。
また、心療内科を受診する患者さんの中には、「家族に疾患を正しく理解してもらえない」という悩みを抱えた人も多くいます。
心療内科の疾患の治療には、家族など周囲の理解が必要不可欠ですので、家族に疾患への理解を促すことも、心療内科の看護師の役割の一つです。
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