内分泌科の特徴と看護師の仕事、適性・スキル、給料アップ法
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
内分泌科の特徴
内分泌科は内分泌代謝科とも呼ばれることがある診療科で、ホルモンを作る臓器の疾患やホルモンの作用に異常をきたす疾患、代謝異常の疾患を診療します。
ホルモンを作る臓器は、甲状腺や副甲状腺、下垂体、副腎、視床下部があり、さらに男性性腺や女性性腺など生殖器も診療範囲に入ります。
また、代謝異常には糖尿病や脂質異常症などの疾患がありますので、内分泌科は非常に幅広い疾患を対象にしていて、さらに小児の成長ホルモン分泌異常や1型糖尿病なども診療しますので、患者の年齢層も小児から高齢者までと幅広いという特徴があります。
そして、内分泌科は基本的に内科的診療をすることが多いのですが、疾患によってはオペをする外科的診療を行う場合もあり、大学病院などの大病院では内分泌内科と内分泌外科に分かれていることもあります。
内分泌科の看護師の業務内容
内分泌科での看護師の業務内容は、基本的には他の診療科と大きな違いがなく、病棟では医師の診療補助と日常生活援助が中心になります。バイタルチェックや採血、点滴の投与、そのほか必要であれば食事介助や入浴介助などですね。
このような一般的な看護師の業務以外に、内分泌科に多い看護師の業務に、服薬指導、生活指導などの患者教育があります。内分泌科では、ホルモン異常による疾患が多いため、薬でのコントロールが治療の基盤となります。
入院中は看護師が薬を管理していますので、患者さんは看護師から渡された薬を飲んでいればOKですが、服薬は入院中だけでなく退院後も長期間に渡って継続しなければいけないケースが多いので、退院後も正しく服薬できるように、看護師が指導しなければいけません。
また、日常生活内でも注意しなければいけないこともありますし、糖尿病や脂質異常症の場合は日常生活習慣を改善する必要があります。
入院中に看護師が患者さんに服薬指導や生活指導をして、患者さんが退院後も治療を継続できるようにすることが、内分泌科の看護師の重要な業務になります。
内分泌科のメリットとデメリット
内分泌科のメリット
内分泌科で働く看護師のメリットとデメリットを考えてみましょう。まずは内分泌科のメリットからです。
看護師が内分泌科で働くメリットは、幅広い疾患を看ることができることと残業が少なめであることです。
内分泌科は視床下部、甲状腺、副腎、膵臓、生殖器と幅広い臓器が対象で、その疾患の症状は全身に影響するものが多いですし、患者さんの年齢層も幅広いですので、看護師として様々な知識を身につけることができます。
また、内分泌科はほかの診療科に比べると急変は少なめです。そのため、予定外の仕事が発生するリスクが少なく、突然仕事が増えてバタバタするということが珍しいので、残業は少なく、落ち着いた雰囲気の中で仕事ができるというメリットがあります。
内分泌科のデメリット
次に内分泌科のデメリットについてです。内分泌科のデメリットは、ルーチンワークが多くやりがいを感じにくいことです。
内分泌科では検査と投薬が主な治療になります。予定された検査をして、その結果を見て医師から指示された点滴や内服薬を投薬しますので、予定された仕事を淡々と進めていくことが多いんです。
その分、残業が少ないというメリットはありますが、看護師としてのやりがいを感じにくくなります。さらに、内分泌科では目に見えて劇的に患者さんの状態が良くなるわけではなく、検査結果の数値でしか実感できないこともあるので、その点もやりがいを感じにくい一因になっています。
内分泌科に向いている人、必要なスキル
内分泌科に向いている人や必要なスキルを考えてみましょう。内分泌科の看護師は、患者さんへの生活指導、服薬指導が大切な仕事の1つになりますので、内分泌科で働くなら高いコミュニケーションスキルが必須になります。
あまりコミュニケーションが得意でない人でも、生活指導や服薬指導はできないことはありません。でも、看護師側のちょっとした言葉遣いや言葉の選び方、話し方などで、患者さんへの伝わり方は全然変わってきますし、患者さんの治療へのモチベーションも変化します。
そのため、内分泌科の看護師は、患者さんのやる気を引き出すようなコミュニケーションスキルが必要になります。
オススメの内分泌科は?
内分泌科で働こうと思った場合、どんな内分泌科を選ぶと良いのでしょうか?まずは、内分泌内科か内分泌外科のどちらが良いかを決めましょう。
「内分泌科」として内分泌内科と内分泌外科が1つになっているところもありますし、内分泌内科と内分泌外科が完全に分かれているところもあります。また、内分泌内科と内分泌外科が1つにまとまっていても、内分泌内科が中心で外科は症例数が少なめというところもあります。
内分泌内科では検査や投薬、指導が看護業務の中心になりますし、内分泌外科ではそれに加えてオペ前後の看護をすることになりますので、内科と外科のどちらに興味があるのかで選ぶようにしましょう。
また、内分泌科は消化器内科や呼吸器内科などほかの診療科との混合病棟になっていることが多いですので、どの診療科との混合病棟なのかは、内分泌科を選ぶ上でとても重要なポイントになります。
内分泌科の給料と給料アップ方法
内分泌科の給料は、経験年数や地域によって異なりますが、病棟勤務の夜勤ありで25〜30万円の求人が多くなっています。内分泌科だからといって特に高いことも低いこともなく、ほかの診療科と同程度です。
2014年度の看護師の平均年収は473万円ですので、これを目安にして求人を選ぶと良いでしょう。
内分泌科での給料アップ方法は、キャリアアップが一番の近道です。内分泌科で役立つ看護師の資格には、糖尿病看護の認定看護師と糖尿病療養指導士があります。
糖尿病看護の認定看護師は半年間の研修が必要ですが、糖尿病療養指導士は糖尿病の療養指導の経験が一定以上あり、2日間の研修(eラーニングも可)を受ければ資格取得可能になっています。
給料アップのためにキャリアアップを目指すなら、糖尿病療養指導士の資格を取ってから、認定看護師を目指すと良いでしょう。
ただ、キャリアアップしてもそれが職場で評価されないと、すぐには給料アップにつながりませんので、キャリアアップすれば給料が上がるかどうかは職場で確認してください。
たとえキャリアアップがすぐに給料アップにつながらなかったとしても、資格を取ってそれを仕事に活かしていくことで、将来的な給料アップにはつながります。
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