リハビリテーション科の特徴、看護師の仕事、適性・スキル、給料
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
リハビリテーション科の特徴
リハビリテーション科は、病気や怪我で体の機能に障害が起こった患者さんに対し、失われた機能を取り戻して、残された機能を最大限に引き出すための治療を行う診療科になります。
その診療範囲はとても幅広く、脳卒中など脳外科の患者さん、多発性硬化症など神経内科の患者さん、脊髄損傷や骨折など整形外科の患者さん、さらにオペ後や肺炎などでの長期臥床による廃用性症候群の患者さんなどリハビリが必要であれば、診療科は問わずありとあらゆる患者さんが対象になります。
また、医師や看護師だけではなく、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などリハビリの専門家が多く在籍していることも、リハビリテーション科の特徴の1つでしょう。
2000年に回復期リハビリテーション病棟が創設されて以降、リハビリテーション科の必要性や需要は増しています。そして、今後も高齢者の増加に伴い、リハビリテーション科の重要性はますます増していくことが予想されています。
リハビリテーション科の看護師の業務内容
リハビリテーション科の看護師の業務内容は、リハビリのサポートと日常生活援助になります。
リハビリテーション科では、医師の指示に基づいて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士らリハビリの専門家が患者さんのリハビリを行いますので、看護師が中心になってリハビリを行うわけではありません。
でも、リハビリテーション科でのリハビリは理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がいるリハビリ室だけで行うだけではありません。
入院中の病棟でできることも多いですので、リハビリテーション科の看護師は理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の指導の下、病棟での入院生活内で行うことができるリハビリを患者さんに促し、サポートすることは重要な仕事の1つです。
また、患者さんのリハビリの成果やリハビリに対するモチベーションや考えなどを把握し、医師や理学療法士や作業療法士、言語聴覚士にその情報を伝え共有して、今後のリハビリにつなげることができるようにすることも、リハビリテーション科の看護師の大切な役割となります。
そして、患者さんの日常生活援助もリハビリテーション科の看護師の仕事の1つです。リハビリテーション科の患者さんは、歩けない、手足を思うように動かせないなどの障害を持った人が多いですので、食事介助やトイレ介助、入浴介助などの日常生活援助はほかの診療科よりも必要とされます。
リハビリテーション科のメリットとデメリット
リハビリテーション科で働く看護師のメリット
リハビリテーション科で働く看護師のメリットとデメリットを見てみましょう。リハビリテーション科で働くメリットは、チーム医療を実践できることです。
リハビリテーション科では、医師や看護師のほかに理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がいます。また、患者さんのリハビリを進めていく上で、薬剤師や管理栄養士との連携も欠かせません。
そのため、リハビリテーション科では医師と看護師だけではなく、たくさんの医療職種と連携しながらのチーム医療を実践していくことができるのです。また、他職種と連携する時の調整役は看護師が行うことがほとんどです。
リハビリテーション科のもう1つのメリットは、仕事とプライベートを両立させやすいことです。リハビリテーション科では、急変は滅多に起こりませんし、急性期病院のような緊急入院もありません。
ですから、リハビリテーション科は残業が少なめで、定時で退勤できることが多いんです。定時退勤できれば、育児中のママさん看護師やプライベートを大切にしたい看護師さんにとっては、働きやすい環境ですよね。
リハビリテーション科で働く看護師のデメリット
リハビリテーション科のデメリットは、ほかの診療科に比べると、力仕事が多いことです。リハビリテーション科の看護師の業務内容で、日常生活援助が多いとお話しましたが、トイレ介助や車椅子への移譲、入浴介助などは力仕事ですよね。
リハビリテーション科には介護士さんが配置されていることが多いのですが、介護士さんがいるからといって、看護師が力仕事をまったくしないというわけではありません。
介護施設とは違って介護士の人数は少なめですし、看護師が中心になって患者さんの日常生活援助を行いますので、体力的には少しハードになります。
リハビリテーション科に向いている人、必要なスキル
リハビリテーション科に向いているのは、どんな看護師さんでしょうか?リハビリテーション科での看護師の仕事は、急変対応や処置は少なく、日常生活援助が多いので、医療行為よりも患者さんの身の回りの世話や日常生活援助にやりがいを感じる人がリハビリテーション科に向いています。
また、リハビリテーション科の患者さんは毎日リハビリに取り組みますので、看護師はそれを支えなくてはいけません。
リハビリは、1回のリハビリで目に見えるような変化が現れることは少なく、長期間かけて少しずつ機能を回復していきますで、患者さんを支えるためにも、看護師自身がコツコツ努力できる人が良いでしょう。
そして、リハビリテーション科の看護師に必要なスキルはコミュニケーション能力です。毎日のリハビリはとても大変です。入院中にリハビリへのモチベーションを下がってしまう患者さんも多いんです。
リハビリに励む患者さんのモチベーションを維持向上させるために、患者さんとのコミュニケーションはとても大切になります。また、リハビリに対してどう思っているかなど患者さんの考えていることを聞き出すことで、より効果的なリハビリを行うことにもつながります。
どんなリハビリテーション科がオススメ?
リハビリテーション科で働きたいと思ったら、どんなリハビリテーション科を選べば良いのでしょう?リハビリテーション科で看護師が働く場合、基本的に回復期リハビリテーション病棟で働くことになります。
回復期リハビリテーション病棟に入院しているのは、脳血管疾患や脊髄損傷、大腿骨骨折、廃用症候群など様々な疾患の患者さんですが、特にどの疾患の患者さんが多いのかは重要なポイントです。
脳卒中のリハビリと脊髄損傷のリハビリでは、看護内容もリハビリ内容も違います。そのため、どんな疾患の患者さんが多いのかを確認してから、どのリハビリテーション科で働くかを選ぶようにしましょう。
リハビリテーション科の給料と給料アップ方法
リハビリテーション科で働く看護師の給料は、ほかの診療科の看護師と基本的に変わりません。夜勤ありの病棟勤務で月収25〜30万円の求人が多くなっています。
平成26年の看護師の平均年収は473万円ですので、これを基準にしてリハビリテーション科の求人を探すと良いでしょう。
リハビリテーション科での給料アップ方法は、やはりスキルアップ・キャリアアップです。リハビリテーション科で役立つ資格には、脳卒中リハビリテーション看護の認定看護師や摂食・嚥下障害看護の認定看護師があります。
どちらもリハビリテーション科で役立つ資格ですが、脳神経外科領域のリハビリに有効なものになります。整形外科領域でのリハビリで役立つ資格には、日本運動器看護学会認定運動器看護師や運動器リハビリテーションセラピストがあります。
脳神経外科領域と整形外科領域のどちらに興味があるのか、どちらの看護を重点的に行いたいのかによって、キャリアアップの方向性を決めると良いでしょう。
また、資格を取得しなくても、院内研修や院外研修に積極的に参加してスキルアップし、そのスキルを仕事に活かしていくことでも給料アップにつながりますよ!
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