眼科の特徴、看護師の業務内容と役割
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
眼科の特徴
眼科は、その名前のとおり眼に関する疾患を扱う診療科です。眼の構造は独特かつ複雑ですので、眼科はとても専門性が高い診療科と言えるでしょう。
日常生活を送る上で、視覚に頼る部分はとても大きいですよね。試しに眼を閉じてみましょう。全く見えない状態だと、怖くてその場から動けなくなりませんか？そのくらい視覚というものは、人間にとって非常に重要なものなんです。QOLを保つためには、眼科の存在は欠かすことができないといっても過言ではないかもしれません。
また、パソコンやスマホの普及や高齢者の増加などで、眼科の需要は高まってきています。このため眼科は、日常生活を支えるための大切な診療科なんです。
眼科の患者さんは、高齢者が多いですが、小児から高齢者までありとあらゆる世代が受診しますので、幅広い年代の看護をすることができるでしょう。
眼科の看護師の業務内容
眼科の業務内容は、病棟かクリニックや外来かで大きく異なります。眼科の病棟は、手術が多いという特徴があります。手術件数はその病院の規模にもよりますが、1日5〜10件程度はあるところが多いようです。
そのため、眼科病棟勤務の看護師は、術前の患者さんへの説明や指導、術前処置、オペ出し、術後処置、術後の説明や指導、ケアなどが主な業務内容になります。
白内障や緑内障、網膜剥離などの眼科の手術は、心臓外科や脳外科の手術よりも手術時間は短く、30分から1時間のものが多く、長くても2〜3時間です。また、入院日数も短いですので、回転が速く、手術の対応に追われることが多くなります。
また、眼科に入院している患者さんは、視力が低下していることがほとんどですので、食事介助や服薬の介助などの日常生活援助を行うことも眼科の看護師の大切な仕事です。
このほかに眼科専門の個人病院やクリニックの場合は、病棟や外来業務以外に、手術での器械出しなどの業務もあります。
クリニックや外来勤務の場合、眼科の特徴的な業務内容には検査業務があります。視能訓練士がいるところもありますが、看護師も眼科の検査を行うことが多いんです。
視力検査以外にも眼圧検査やオートレフを用いた検査など眼科独特の検査が多く、機器を用いた検査も多いですので、検査内容や機器の取り扱いなどを覚えなくてはいけません。
眼科の看護師のやりがいや役割
眼科で働く場合に注意しなければならないのは、眼が見える前提で患者さんに接してはいけないという点です。眼科を受診する患者さんの中には、日常生活を送ることが難しいほど視力が低下している人もいます。
そういう患者さんに「こちらへどうぞ」や「診察室にお入りください」などと声をかけたらどうなるでしょうか？どちらの言葉も、ほかの診療科であればよく使うものですよね。でも、眼科では使うべき言葉ではありません。左右や距離を具体的に説明したり、一緒に付き添うなどの心配りが必要です。
また、病棟で食事や服薬などを手伝う時にも、視力が落ちていることを考慮しつつ、できるだけ自分でできるような説明や指導、介助をしなければいけません。
眼科の看護師は、患者さんの眼になりつつも、すべてやってあげるのではなく、できることはやってもらったり、できることを増やしていくようなケアが必要ですし、視力や見える範囲は患者さんによって違いますので、とても難しく苦労が多いですが、その分やりがいのある仕事と言えるでしょう。
眼科の看護師の大切な役割のひとつに、精神的なケアがあります。眼科の患者さんは眼の疾患があって視力低下や視野狭窄の問題を抱えていますし、場合によっては失明の危機に面している人もいます。
それだけで、患者さんの不安はとても大きなものになりますよね。目が見えにくい、見えなくなるかもしれないというストレスは、計り知れないものです。さらに、眼の手術をしなければならないのであれば、不安やストレスは想像以上のものとなるでしょう。
眼科の看護師は、そんな患者さんの不安やストレスをできるだけ取り除けるように、説明や指導だけではなく、日常生活援助の細かな部分まで配慮していかなくてはいけません。
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