72時間ルールのメリットとデメリット
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more..]
72時間ルールのメリットとデメリット
72時間ルールのメリット
そもそも、なぜ夜勤72時間ルールが作られたのでしょう?72時間ルール制定の目的は、看護師の労働負担を軽減することです。昔から、看護師の過労が問題になっていましたので、夜勤の労働時間を減らして、看護師の身体的負担を減らそうとしたのです。
日本看護協会は、月の夜勤平均時間を64時間以下にすることを主張してきましたが、現場の病院からは、「月に64時間では不可能」との強い反発を受けて、夜勤の上限が72時間に設定されました。
厚生労働省の「看護職員として勤務し続ける上での問題点」という調査では、「夜勤の身体的負担が大きい」という回答が4位に入っていますので、72時間ルールを作ったことは、夜勤が負担に感じる看護師にとっては、身体的負担が軽減され、看護師を続けていく上でプラスになっていると思います。
72時間ルールのデメリット
72時間ルールのデメリットは、夜勤回数を制限されることで、お給料が減ってしまうことです。
看護師の給料は、夜勤手当が大きな割合を占めています。2交代制の場合、1回の夜勤手当が平均1万円前後になります。今まで夜勤を6回入っていたのに、72時間ルールができてからは4回に減ってしまったら、月に2万円もお給料が少なくなります。
夜勤に入っても良いから、少しでも多くお給料がほしいという看護師さんにとっては、72時間ルールはデメリットでしかありません。
実際に、夜勤の回数が少なくなったから、お給料を稼ぐために少ない休日を使って、ほかの病院で夜勤のアルバイトをする看護師さんが増えているという現実があります。これは、72時間ルールのために夜勤者を確保したい病院側と夜勤に入ってお金を稼ぎたい看護師の希望が一致しているためだと考えられます。
ただ、夜勤のアルバイトをすると、身体的な負担は増えますので、夜勤による身体的な負担を軽減するための72時間ルールは、一部の看護師の身体的負担を増やしてしまっているという現実があるんです。
どんどん夜勤に入ってお金を稼ぎたいと思っている看護師さんは、外部の病院にアルバイトに行くのではなく、ICUや救命救急センターなどの集中治療系の病棟や緩和ケア病棟など72時間ルールが適用されない職場にに異動・転職したほうが、身体的な負担が少ないままお金を稼げると思います。
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